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渋沢栄一の生きた幕末の酒席を盛り上げた名品徳利
「備前焼角徳利」は、18世紀後半から19世紀にかけて作られた、備前焼徳利の一種です。主に、保命酒徳利の容器や花入として使われ、全国的な大ヒット商品となりました。
この徳利の大きな特徴は、四角や六角などの美しい造形と、表面に彫られた見事な詩歌絵画の彫刻文様です。
備前焼角徳利が作られた時代は、化政文化の隆盛した文化文政期から幕末の動乱を経て明治時代に至るまで。その過渡期の風流を、当時流行した備前焼角徳利を通じて、垣間見て見ましょう。
備前焼角徳利は、保命酒徳利の容器として全国的なヒット商品となったため、現代まで伝世している品も数多く残っています。そのため、高価な古備前焼の中でも、比較的安価で買い求めることができる古美術品の一つです。
それは、この品が茶道具や献上品と言った目的ではなく、あくまでも町人や武士たち向けに作られた酒徳利だったからでしょう。とは言え、松・竹・梅や、四君子や、詩歌等が彫り込まれた出来栄えや芸術性は、実に美しく見事なものです。その素晴らしい価値を、現代社会は忘れてしまっていますが、これぞ日本の「民の芸」の走り、とも言える高度な芸術性を秘めている名品でしょう。